#1.スッキリしたからジントニック
淋しいというから、側にいてやっただけ。
それだけなのに、やけに恋人ヅラをするアイツがうっとおしい。せっかく梅雨も明けたというのに、私の気分は、汗でベトベトなのに、シャワーも浴びられないようなものだ。
それもこれも原因は全てアイツである。こんな気分ではこれからの暑さに耐えられないかもしれない。暑さにへこたれないためには、アイツとの関係を何とかすればいいだけだ。仕事を終えて、ビルの外に出たとたんそんなことを思った。もう7時をまわっていて、外は暗くなっているのにこの暑さだ。別れを決めるにピッタリの時間と気温だったのかもしれない。暑さにもアイツにもうんざりなんだから。
「別れよう」と思ったとたん、それまでの暑さを吹き払うかのように涼しい風が通りすぎた。自然もこの考えに賛成してくれているということだろう。
私には、しばられるという言葉は合わない。アイツとの恋愛もどきで気づいたことは、私には、もっとふさわしい男がいるってこと。あんな男のために、無駄にした時間のことを考えると、いったい何人のいい男との出会いがあったのか! ったく!
そんなことを考えながら歩いていたら、自然に足は会社帰りに時々同僚とよるバーに向っていた。そうだ。この清清しい気持ちにカンパイしなくては。
さっぱりとした清涼感を味あわせてくれるに違いないジントニックを飲んでいこう。ジントニックは、イギリス人がインドかどこかで暑さをしのぐために生み出したと聞いたことがある。今の私にはちょうどいい。

ボンベイ・サファイヤ
カウンターに座ると私はすぐに、へミングウェイも好きだったというジントニックを注文した。キンキンに冷えたタンブラーにボンベイ・サファイアのジンをダブルで、そこにたっぷりとトニックウォーターを注ぎ、レモンを浮かべるというきわめてシンプルなものだ。
ボトルがサファイアカラーのボンベイ・サファイアは、ゴードンやタンカレーよりさっぱりした私の気持ちにピッタリだ。
一杯目を飲み干したところで、向こうのカウンターで一人で飲んでいる男の視線に気づいた。その視線に私の夏が始まる予感がした
ジントニック
- ・ジン 45ml
- ・トニックウォーター 適量
- ・ライム or レモン 1/8

ジントニック
アルコール度数 中
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